鹿児島県の多くの高校では英作基本文例600選というかなり昔から使われている教材を使います。
今の高校生の保護者の方も高校の頃に使っていた、という方も多いのではないでしょうか。
私は今この時代において30年以上も昔の教材である600選の活用にはメリットもある一方で弊害も大きいと思います。
多くの高校で文法や語彙力が定着する前、高校一年生の早い時期から600選を丸暗記します。(暗記させられます)
定期テストのために、600選を暗記しなければならない高校も多いのですが、「どうして600選を暗記する必要があるんですか?」と毎年尋ねられるのは、なぜ覚えなければいけないのか生徒さんたち自身がよくわかっていないからです。
高校一年生から二年生の英語を一番身につけることができる貴重な時期に、「600選を間違えずに書かせるだけ」の作業にかなりの重きを置かれているところもあります。(最近では応用して書かせるテストも見かけるようになりましたが)
結果、英文をまるごと暗記しなければならない苦痛で英語のテストが嫌いになる方が多いこと、600選をテスト前に一気に暗記して、構文を理解せずに丸ごと英文を暗記しているがゆえに、ミスも多く、テストが終わったと同時に記憶から消えていく、というパターンが多いです。
600選自体は構文が文法ごとに分けられていて文例を覚えて使う分にはいい教材だと思いますが、高校での600選の活用方法をそろそろ見直す時期に来ているのではないでしょうか。
英語の文法、語彙、構文が定着する中で、高校二年生くらいから任意で活用する、 英語の基本をしっかり学び、その中で英文法に付随している構文を覚えていくほうが意味があると思いますし、実際使われている頻度はそれぞれ異なります。
600選を「暗記」して覚えさせるのは時代が求める英語力に逆行しています。
英語は強制ではなく自ら学ぶからこそ、色々な表現も身につくのです。
共通テストが従来のセンター試験の英語と大幅に変わっていること、自分の英語力で表現の豊かさを身につける、という意味でも暗記ベースになっている600選の使い方についてその意義と結果について熟考する時期に来ていると強く感じます。